日本集中治療医学会雑誌
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経腸栄養施行中に発生した銅欠乏症の1例
溝渕 知司五籐 恵次長野 修金城 実横山 正尚松三 昌樹時岡 宏明平川 方久
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1997 年 4 巻 1 号 p. 45-48

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抄録

人工栄養施行中にみられる銅欠乏症の報告は,経静脈栄養に多く,経腸栄養では少ない。今回,長期経腸栄養施行中に銅欠乏による白血球減少,貧血を呈した症例を経験した。症例は67歳,女性で経腸栄養(ファイブレンYH(R)使用)開始15週目頃より白血球数が低下し,23週目より著明な貧血を呈した。造血機能の異常を疑い検査を行ったところ血漿銅値が9μg・dl-1と低下していた。このため,経静脈的および経腸的に銅を投与し,約1ヵ月で白血球数,貧血は劇的に改善した。現在市販されている経腸栄養食品,経腸栄養剤は銅をはじめとする微量元素が充分に含まれているとは言い難く,経腸栄養であっても微量元素の欠乏を念頭に置くべきである。

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