抄録
経食道心エコーは,すでに手術室では広く用いられる検査手技となっている。本論では,経食道心エコーが現在集中治療領域でいかに用いられているかを述べた。経食道心エコーは主に循環異常の把握に使用され,感染性心内膜炎や乳頭筋断裂の診断にも利用される。呼吸変化が循環動態に及ぼす影響では,呼気終末陽圧(PEEP)による変化が検討されている。呼吸器系異常では,下側肺障害の診断にも有用である。また,血管内カテーテル挿入時の補助にも有用である。経食道心エコーは,経胸壁心エコーに比して鮮明な画像が得られ,集中治療部での今後の利用拡大が期待される。