成人では非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation, NPPV)は慢性呼吸不全の治療法として有用性がほぼ確立しており,一部の急性呼吸不全に対してもその可能性が示唆されている。小児においてもNPPVは酸素化の改善や呼吸努力の軽減効果があり,気管挿管あるいは再挿管の回避が期待できる。しかし,日和見感染の発生率,集中治療室在室日数や入院期間の短縮効果,死亡率などについての検討はまだされていない。また鼻マスクなどのインターフェースはまだ充実しておらず,小児への適応を阻んでいる原因の一つである。成人よりも予備力が少なく理解力や協調性のない小児への適応はまだ十分検討されていないが,小児へのNPPVは魅力的な治療法である。しかし,本法は小児集中治療室などで小児呼吸管理の専門チームのもとで行われるべきであり,気管挿管の時機を逸してはならない。