圃場面を緩傾斜化させた傾斜化圃場は,転換畑における表面排水と地表灌漑を迅速かつ効果的に行える技術であるが,造成の過程で生じる切土と盛土が営農に与える影響が懸念されている.また,造成には運土作業が伴うため作業時間増大が予想され,大規模土地利用型農業を展開する担い手への負担増も懸念される.そこで,傾斜化圃場の三相分布を調べたところ,盛土部と切土部での固相率の差は確認されず,経年変化による盛土部の沈下や均平精度の低下もなかった.また,造成後の土壌硬度は表層部で高い値となったが,作物の栽培には影響ないことが分かった.なお,傾斜化圃場の造成はレーザーレベラー走行を効率化させることで,通常の整地と同等の作業時間に短縮することができ,圃場面傾斜化技術の低コスト・省力化を実現することができた.