農業農村工学会論文集
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研究論文
水田で育ったニゴロブナ幼魚の水田内残存と脱出場所の選択性
前畑 政善大塚 泰介水野 敏明金尾 滋史
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2010 年 78 巻 3 号 p. 183-188

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抄録

水田内で育てた幼魚(当歳魚)を中干し期に排水口から回収する場合,水田内にしばしば多くの魚が取り残される.本研究では,水田内残存魚をできるだけ少なくするための効果的手法を探るため,ニゴロブナ幼魚を使って,一般的な圃場整備が行われた水田における幼魚の排水口からの脱出状況(実験I),および幼魚が給水口と排水口の両側から脱出できるようにした水田での脱出状況(実験II)を調べた.実験Iでは中干し開始3日目以降も水田内に多数の幼魚(全脱出魚の39.1%)が取り残されること,実験IIでは,大半の幼魚(全脱出魚の99.8%)が給水口側から脱出することが確認された.以上の結果,水田内残存魚を減じるには,まず給水を止めた状態で排水口から脱出させ,次に給水によって給水口側に誘引された幼魚をトラップ等で捕獲する等の方法をとることが有効であると考えられた.

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© 2010 公益社団法人 農業農村工学会
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