農業農村工学会論文集
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複合タンクモデルを用いた河北潟流域における全窒素,全リンの流出負荷量の推定
瀧本 裕士村島 和男橋本 岩夫丸山 利輔
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2010 年 78 巻 3 号 p. 189-198

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抄録

本研究では,河北潟流域から流出する全窒素と全リンの負荷量を推定し,併せてその負荷削減対策を検討した.流域からの流出量の推定には,複合タンクモデルを用いた.まず,河北潟流域内の小河川である大宮川流域に複合タンクモデルを適用し,解析精度を検討した上に,モデル定数の決定を行った.続いて,河北潟全流域にこのモデルを適用した.流量を推定した結果,観測値と推定値は良く一致し,複合タンクモデルは流量の再現性も良好であり,負荷量を推定する際に有効なモデルであることが確認された.水質負荷の推定には原単位法とLQ式法を用い,全窒素,全リンの流出量を推定した.1998~2002年間の推定によると,河北潟は,原単位法では,全窒素で約678t year-1,全リンで92.2t year-1 の負荷を受け,LQ式法では,全窒素で,661t year-1, 全リンで31t year-1の負荷を受けると推定された.これによって,河北潟流域の市街地、農地、山林などの土地利用が水質負荷に大きく関与していることが分かった.さらに全窒素の負荷について原単位とLQ式による方法を比較検討し,両者が高い相関にあることを示し,次に山地流域について水田用水の反復利用による負荷削減効果を評価した.

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© 2010 公益社団法人 農業農村工学会
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