耕作放棄水田対策として近年注目されている水田牛放牧について,その景観が人々に与える心理的影響と位置づけを明らかにする必要がある.そこで,水田牛放牧景観について関連する景観との対比の中でSD法による評価をおこない,その位置づけを明らかにし,景観の観点からの導入への課題を明らかにする.
水田牛放牧景観は相対的には低い評価となったが,心理的悪影響を及ぼしかねないネガティブワードは示していないため,悪い評価ではなかった.評価は牛の有無に関わらず土地利用形態と営農形態によって規定されている.水田牛放牧の導入の課題としては,清潔感の確保,圧迫感の回避,牛との接点がないことによる心理的距離の大きさの克服があげられた.