本研究は,手取川流域(石川県)において,積雪量調査や積雪モデルを用いることなく,無積雪仮想流量(積雪がないとした場合の積雪・融雪期における河川流量)と実測流量の差異により,流域の積雪水資源量を評価したものである.無積雪仮想流量はタンクモデルを用いて推定した.本流域における手取川ダム築造以前の1976年6月~1979年5月の3ヶ年間の分析結果,積雪水資源量は462mm~1,179mmと推定され,積雪による水資源量の大きさが具体的に示された.また,無積雪仮想流量下では,現在の農業用水の水利権水量を下回る日数が大幅に出現した.