名勝指定地や文化的景観選定地として保全を求められる棚田が増加している.畦畔除草作業は棚田の維持管理としてだけでなく,景観や植生等周辺環境へも影響をもつ重要な役割を担っている.しかし棚田の畦畔法面は複雑かつ一様でないため,除草作業の環境としては作業性・安全性等の面から課題がある.また文化財である限り,作業環境の改善に際しては現状変更の制限を受けるため,その検討に対し地域も消極的となっている.長野県千曲市の名勝「姨捨(田毎の月)」において畦畔除草作業の実態を明らかにし,これを踏まえて試験的な小段を設置,作業環境の改善について検証・検討を行った.畦畔除草の作業環境の改善策として法先足場小段のあり方を提案し,名勝指定地での現状変更を可能とした技術的・計画的条件を示した.