農業農村工学会論文集
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研究論文
台地畑流域における洪水緩和機能の測定と評価
辻 英樹塩沢 昌西田 和弘
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2012 年 80 巻 5 号 p. 391-399

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抄録

台地畑流域の降雨流出機構を把握し, その洪水緩和機能の大きさを定量評価するために, 千葉県銚子市にある流域面積1.60 haの台地畑流域において降雨量・流出流量・地下水位を実測した. ピーク降雨強度が8 mm・(10 min)-1以上の時に降雨強度が浸透能を超えて表面流出が生じたと推定され, 強度が8 mm・(10 min)-1以下の時は, ピーク降雨強度に対するピーク流出高の比は0.08~0.39であった. 台地上部の地下水位が0.3 m程度以上上昇する頻度は年に2~3回程度であり, 台地下部ではこれより頻繁に地下水位が地表面付近まで上昇した. さらに流域の流出特性をタンクモデルで表現し, 流域の浸透能とピーク流量緩和時間τ50を定量指標として本流域の洪水緩和機能を評価した. 本流域におけるτ50の値は6.4 hとなり, これは茨城県つくばみらい市における灌漑期水田の5.1 hより大きく, 非灌漑期の8.4 hより小さな値となった.

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© 2012 公益社団法人 農業農村工学会
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