農業農村工学会論文集
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南九州畑地集水域における降雨流出特性
― 鹿児島県大隅および徳之島地域の事例 ―
髙木 東籾井 和朗肥山 浩樹伊藤 祐二
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2014 年 81 巻 6 号 p. 601-608

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抄録

特殊土壌が分布する南九州豪雨地帯の畑地集水域における降雨流出特性の解明は農地保全上重要である.本研究では,シラス,国頭礫層および琉球石灰岩を基盤とする畑地集水域における流出特性を,米国農務省提案のHフリュームを用いた流量観測に基づいて検討した.シラス台地クロボク土壌の集水域のピーク流出係数は最大で0.096,ビニールマルチを施した場合は,被覆率45%のときに最大で0.50の高い値を示した.徳之島国頭礫層上の集水域のピーク流出係数は,最大で0.45,一方,同じ島内の浸透性の高い琉球石灰岩層上の集水域では,最大でも0.033という非常に低い値を示した.洪水到達時間は概ね10~30分の値をとり,集水域の違いやビニールマルチの有無などによる大きな相違はなかった.本研究で対象とした集水面積5 ha未満の畑地集水域では,洪水到達時間と平均有効降雨強度に強い相関はなかった.

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© 2014 公益社団法人 農業農村工学会
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