ソイルセメント地中連続壁工法は原位置土を壁材の一部として用いるため, 原位置土の性質に品質が大きく左右される.砂質土地盤のソイルセメントでは, 礫や砂の分離・沈降による施工不良が生じ易いため, 施工や芯材挿入に必要な流動性を確保しつつ, 材料分離を出来る限り小さくする必要がある.そこで本研究では, 砂質土地盤におけるソイルセメントのフレッシュ性状改善を目的とし, 製紙工場から発生するペーパースラッジを砂質土ソイルセメントの添加材として適用した場合の効果, さらにそのソイルセメントの建設工事現場における施工性について検証した.その結果, ペーパースラッジを砂質土1m3に対して10kg程度混合したソイルセメントは, 微細な独立気泡および繊維がソイルセメント内に導入され, 流動性および材料分離抵抗性が向上することを明らかにした.さらに, 実施工においても施工不良は確認されず, 強度のばらつきも小さく, ペーパースラッジを用いたソイルセメントの良好な施工性が検証できた.