ポンプ設備の実機を用いて, 軸受や歯車を対象として劣化の初期段階から損傷に至る劣化促進試験を行い, 摩擦面にアブレシブ(切削型)と凝着, 溶融の3種類の摩耗を人為的に発生させた.実機を用いた試験法は稼働しているポンプ設備の劣化兆候を検出する技術検証となることから, 設備の保守管理や機能診断に資するものとなる.本試験では, 摩擦面の状態を常時監視するために潤滑油に含まれる金属摩耗粒子の個数を試験時に微粒子計数装置によって計測し, さらに劣化の傾向を迅速に把握するために, 採取した油中の金属摩耗粒子の形態とサイズをその場で光学顕微鏡を使って観察した.ポンプ設備の損傷を起こす要因として主に想定される3種類の摩耗を発生させた結果, 油に含まれる金属摩耗粒子の個数や形態, サイズが設備の劣化兆候を検出する監視項目になることを確認した.