農業農村工学会論文集
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研究論文
応答曲面法によるため池破堤時の被害額の簡易推定
水間 啓慈西村 伸一柴田 俊文珠玖 隆行
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2015 年 83 巻 5 号 p. I_147-I_153

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抄録

我が国には江戸期以前に築造されたものも含め農業用ため池が数多く存在し, 地震や豪雨のリスクに常に直面している.このため, 遅滞なく効率的に改修等のハード対策や管理体制の強化等のソフト対策を講ずる必要があり, 破堤時の想定被害額を考慮しながら優先順位を決定し計画的に対応を図ることが求められている.しかしながら, 既定の氾濫解析に基づく被害額算定手法は複雑であり, 優先度を検討する数多くのため池の被害額を一度に算定することは難しいことから, 容易に被害額を推定できる簡略化された手法が必要となる.本研究では, このような課題に対応するため, 応答曲面法を用いて被害額を簡易に推定する手法を提案する.応答曲面法とは, 実験計画法に基づく回帰分析により, 因子と応答との定量的な関係を表現する回帰式を作成する手法であり, 得られた回帰式は応答曲面と呼ばれる.被害額算定に考慮すべき多くの因子について感度解析を行い, 被害額の値に大きく寄与する4つの因子を抽出した.これらの因子を用いて作成した応答曲面の決定係数R2は0.84と高く, 行政機関等が行う被害額の簡易推定への実用の可能性が示唆される結果が得られた.

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© 2015 公益社団法人 農業農村工学会
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