津波による海水の浸漬を受けた岩手県陸前高田市広田町のため池堤体において電気探査(比抵抗とIP), 地中レーダー探査, 簡易的な弾性波探査を行った.本論は, 物理探査調査によるため池堤体の除塩状況の把握を目的としている.電気探査からは電気伝導度分布と充電率分布, 地中レーダー探査からは電磁波の相対反射強度分布, 弾性波探査からは弾性波の相対反射強度分布を得た.その結果, ため池堤体内部の塩分濃度は時間の経過とともに穏やかに減少することが観察された.また, 高塩分濃度領域は地下水面よりも上部の粘土を含む層に位置するものと推定された.さらに, 津波から1年以上経過しても塩分濃度が高い領域は, 局所的に存在していると推定された.