農業農村工学会論文集
Online ISSN : 1884-7242
Print ISSN : 1882-2789
ISSN-L : 1882-2789
研究報文
竹林拡大が土壌物理性および積雪・融雪に及ぼす影響
藤原 洋一両角 圭祐高瀬 恵次百瀬 年彦長野 峻介一恩 英二
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 84 巻 3 号 p. II_87-II_94

詳細
抄録

竹林拡大が乾燥密度や透水性・保水性などの土壌物理性に及ぼす影響を検討し,土壌内部の雨水流出経路を調べるために色素トレーサーを用いた散水実験を行った.さらに,竹林拡大が積雪・融雪に及ぼす影響も検討した.その結果,竹林拡大区と落葉区の土壌の違いは主に表層で見られ,前者の方が根量は多く乾燥密度が小さい.また,根量が増加すると同一マトリックポテンシャル時における体積含水率が減少しており,保水性の低下が確認された.散水実験では,腐食根,活性根,亀裂に沿って雨水が移動し,竹林拡大区では表層から30 cmまでの深さに着色が集中していた.また,竹林拡大区の土壌で確認された強い撥水性も雨水流出経路の集中に寄与していると考えられた.さらに,竹林拡大区の積雪期間と積雪深は落葉区と比較して約14%減少しており,積雪地帯の水資源に影響を及ぼす可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2016 公益社団法人 農業農村工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top