コンクリート構造物の耐久性能は,外部環境の影響により変質する.その際,材料損傷は圧縮強度などにより評価されることが多いが,より効果的な維持管理には力学特性に加えて,損傷度の推定が不可欠である.本報では,AE(Acoustic Emission)法と損傷力学を用いたコンクリートの材質評価を試みた結果を報告する.実験的検討では,竣工後87年が経過した道路橋RC床版を対象とした.供試したコンクリート・コアの力学特性は,AE計測を導入した圧縮強度試験により評価した.検討の結果,破壊試験の評価パラメータであるλ値とβ値が超音波伝搬速度と関連していることが示唆され,破壊試験から求められる評価パラメータの非破壊推定の可能性が確認された.