農業農村工学会論文集
Online ISSN : 1884-7242
Print ISSN : 1882-2789
ISSN-L : 1882-2789
研究論文
集落ぐるみの獣害対策における住民の行動意図の規定要因
— 男女の意識構造の相違に着目して —
東口 阿希子星野 敏橋本 禅鬼塚 健一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 85 巻 2 号 p. I_145-I_157

詳細
抄録

集落ぐるみの獣害対策における住民の行動意図に着目し, 集合的防護動機モデルを援用することで, 男女それぞれの行動意図の規定要因を解明し, 有効な普及啓発方法について検討した. 滋賀県甲賀市で実施したアンケート調査により, 男性は侵入防止柵と追い払いに共通して, 脅威認知および効果性認知, 責任認知が行動意図の強い規定要因であると示された. 女性は侵入防止柵では脅威認知の影響が顕著に強く, 追い払いでは脅威認知と実行能力認知, 実行者割合認知が強い規定要因であった. また, イノシシの脅威認知およびサルによる自己への脅威認知が行動意図を強く規定するのに対し, シカの脅威認知やサルによる集落への脅威認知の規定力は小さいことが男女で共通していた. 男女それぞれについて行動意図の規定要因に適した情報提供を行うことで, 普及啓発の効果が向上すると考える.

著者関連情報
© 2017 公益社団法人 農業農村工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top