農業水利施設を管理する土地改良区では, 組合員が大規模経営体と小規模農家へ二極分化することが予想されている.そのようになった場合, 総会での議決において現行の一人一票制を用いると, 人数の多い小規模農家の意見が反映されやすいので, 受益地の大半を経営する大規模経営体が不平等感を抱く恐れがある.そこで, 二極分化が進んだ土地改良区における議決権数決定方法として面積要件付加制に着目し, その具体的内容をモデル土地改良区のデータを使い提案するとともに, 導入時の留意点を分析した.その結果, ①面積要件付加制における各組合員の議決権数を, 「1人当たり1個」と「全組合員数と同数の議決権を全農地面積につき地積割した個数」の和とする, ②総会での議決前に大規模組合員同士の合意形成を促進するため, ワークショップを取り入れた議論の場を用意する点に留意する, ことを示した.