農業農村工学会論文集
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研究論文
低温・低窒素濃度の灌漑水を用いた掛流し灌漑が玄米タンパク質濃度および白未熟粒割合に与える影響
西田 和弘塚口 直史柴田 里子吉田 修一郎塩沢 昌
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2019 年 87 巻 2 号 p. I_219-I_226

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抄録

低温・低窒素濃度の灌漑水を用いた掛流し灌漑試験を実施し, 水稲の登熟期の掛流し灌漑が玄米タンパク質濃度および白未熟粒割合に与える影響を調べた.その結果, 掛流し灌漑実施水田では, 水口に近いほど玄米タンパク質濃度が低くなり, また, 玄米タンパク質濃度が低いほど白未熟粒割合は高くなった.これらのことから, 低温・低窒素濃度の灌漑水を用いた掛流し灌漑は, 稲の窒素吸収量を減少させる可能性があること, これにより米の外観品質を悪化させる可能性があることがわかった.掛流し灌漑による米の品質向上メカニズム, 最適な水管理法を明らかにするには, 従来考えられている水田・水稲の温度環境への影響だけでなく, 窒素環境への影響, 水田の窒素環境を介した米の外観品質への影響についても検討する必要があると考える.

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© 2019 公益社団法人 農業農村工学会
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