農業農村工学会論文集
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研究論文
農地還元に向けた養殖水槽の沈殿固形物の除塩
― 室内実験と槽列モデルによる必要除塩用水量の検討 ―
山岡 賢仲村 一郎金城 和俊遠藤 雅人山科 芙美香山内 千裕
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2025 年 93 巻 1 号 p. I_13-I_20

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抄録

筆者らは,海洋魚を飼育する養殖水槽から回収した沈殿固形物(魚のふん,残餌等)を,肥料として農地還元することで資源循環を推進することを目的に研究を実施している.本報ではその一環として,沈殿固形物の除塩を室内実験で検討した.室内実験によって,①沈殿固形物の透水係数は10-5 cm/s程度であった,②沈殿固形物の含水量を考慮して沈殿固形物の乾燥重量の5倍の重量の除塩用水(純水)を添加して,沈殿固形物を浸透させると,沈殿固形物のEC値,Na+濃度はそれぞれ2.2 mS/cm,240 mg/L以下となったとの結果を得た.これらEC値,Na+濃度は,筆者らの既報で沈殿固形物の除塩の目安としたEC値4.8 mS/cm及びNa+濃度1,140 mg/Lを下回った.実験結果のNa+濃度を基に,沈殿固形物の除塩を槽列モデルによりモデル化することを試みた.各ケースのモデル試算から必要除塩用水量を検討し,目安として単位面積当たり14.0 mm及び沈殿固形物の乾燥重量当たり1.75 L/kgを得た.

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