農業土木学会論文集
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ガラスビーズ及び鹿沼土カラムを通過するモデルコロイド粒子の輸送に対するコロイド安定性及び間隙径の影響
山下 祐司足立 泰久
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2004 年 2004 巻 233 号 p. 523-529

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抄録
土壌中のコロイド輸送に対するコロイド安定性及び土壌の間隙径の影響を明らかにするために, ガラスビーズ及び鹿沼土を充填したカラムを用いてコロイド粒子の通過実験を行った.実験に際しては, 塩濃度の調整によって凝集分散を制御できるポリスチレンラテックス (以下PSL) 粒子懸濁液を用い, PSL粒子の破過曲線の形状を単純塩 (NaCl) の流出を基準に解析した.ガラスビーズを充填したカラムにおいては, PSL粒子の流出応答の開始が単純塩と一致し, また, 流入濃度 (C0) に対する流出濃度 (C) の割合 (以下相対濃度, C/C0) の収束値が10-4mol・l-1から10-1mol・l-1のNaCl濃度の増加に伴って減少した.これは緩速凝集領域にあるPSL粒子の凝集速度が塩濃度の増加に伴って増加することに対応している.一方, 鹿沼土を充填したカラムにおいては, 単純塩の破過曲線の形状から充填粒子が団粒構造の特徴を有することが確認された.また, PSL粒子の流出の開始は単純塩より早く, その後, 一定の値には収束せず徐々に増加した.PSb粒子の相対濃度は静止した懸濁液で完全に分散状態にある10-4mol・l-1オーダーの塩濃度領域で著しく変化した.両充填カラムにおいて, 相対濃度のイオン強度依存性は充填粒子径が小さいほど明瞭であった.PSL粒子の急速凝集条件下では, 相対濃度が経時的に減少していくライプニングが確認され, 充分時間経過後にはカラム上層部に膜が形成された.顕微鏡観察から, 膜はPSL粒子のフロックであることが明らかとなり, フロックの形成がライプニングと密接に関わっていると判断された.
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© 社団法人 農業農村工学会
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