抄録
現在, 一般国道等の道路舗装の設計は, 設計基準の国際化を背景とした性能規定化に伴い, 従来の経験的設計法から理論的設計法へ移行しつつある. 日本道路協会の舗装設計施工指針では, アスファルト舗装を設計するための解析手法として米国アスファルト協会 (AI) の破壊規準式を推奨し, アスファルト混合物の疲労破壊とわだち掘れ量の解析に基づいた設計例を示している. しかし, これらの設計例は重交通舗装断面については示されているものの, 農道のような軽交通舗装断面に対するAIの破壊規準式の適用性については, 十分な検証が成されていない.
本研究では, アスファルト舗装のわだち掘れ量に着目し, 従来の経験的設計法であるTA法にて設計されたI-2-IV交通対応の農道用舗装の設計例に対し既存のわだち掘れ解析手法を適用し, AIの破壊基準式の適用性について検討した、その結果, AIの破壊規準式は農道のような軽交通舗装断面に適用できないこと, 信頼性に基づいた現行の設計法をIII, IV交通に適用した場合, 断面を過大に見積る可能性があることがわかった.