抄録
光を照射し藻類などの有機物生成を促す明条件と, 遮光した暗条件下との窒素除去能力を比較する実験を行った.土壌100gと試料水300cm3 (NO3-N: 15-17mg・L-1) をビーカー内に入れ, 25℃ のインキュベータ内で光を連続照射した.1週口のみ毎日採水を行い, 1週間毎に試料水の入れ替えと分析を行った.これを12週問繰り返し行った.1週目の日変化から, 明条件と暗条件のNO3-N除去係数の差は1日目から生じ, その差は約2.3倍となることがわかった.12週間の変動から, 明条件のNO3-N除去係数が約0.003-0.005m・d-1で安定し, 暗条件は約0m・d-1まで低下した.明条件のCOD濃度増加量は, 6-10mg・L-1と高く12週間ほぼ一定量を示し, 実験後の土壌の窒素量と炭素量が増加したことから, 光による有機物の発生が確認できた.以上より, 光を当てることで有機物を持続的に発生させることができ, 窒素除去能力の持続1生に影響を与えることがわかった.