農業土木学会論文集
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千葉県鴨川市における棚田の持続的保全支援の諸形態
佐久間 泰一石井 敦
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2007 年 2007 巻 249 号 p. 319-328

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抄録

千葉県鴨川市で行われている都市住民や地元農民らによる棚田の保全支援の取り組みの諸形態について, その実態を明らかにし, 問題点について検討した. 鴨川市では, 大山千枚田の他, 棚田特区や鴨川自然王国においてオーナー制度やトラスト制度が実施され, 棚田支援の取り組みがなされている. いずれも大都市近郊であるため都市からの保全支援希望者は多数あるが, 彼らの農作業を指導する指導員が十分確保できないため, オーナー制度やトラスト制度の規模は棚田全体の一部にとどまっている. 自然王国では常勤の職員を雇用し棚田を保全管理するため毎年個人の私財が投入されている. 他の地区では地元農民らを指導員として非常勤で雇用しており, 支援体制が金銭的にバランスしているが, 今後, 中長期的にこうした指導員を確保できるかが問題である.

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© 社団法人 農業農村工学会
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