農業農村工学会論文集
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GPS可降水量を用いた月蒸発散位の推定
森 牧人平松 和昭原田 昌佳
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2007 年 2007 巻 250 号 p. 353-361,a1

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抄録

GPS (Global Positioning System) は人工衛星を利用した高精度な測位システムとして良く知られている. ここ10年あまりの間に, GPSのデータを基に無限高の大気カラム中に含まれる水蒸気の総量を「GPS可降水量」として求めることが可能になった. 本研究では先行研究により示されたGPS可降水量と地上水蒸気圧の高い相関性に着目し, 北部九州の平野を対象にGPS可降水量を用いて月蒸発散位の推定を行った. まず, GPS可降水量を基に推定された地上水蒸気圧は実測値と良く一致することが確認され, 両者の差の標準偏差△eは1.7hPaであった. 次に, 地上水蒸気圧の代わりにGPS可降水量を用いた月蒸発散位の推定式が示された. 同式による蒸発散位の推定値ETGPSは従来のペンマン式から得られた値ETPENと概ね一致した. 最後に, △eがETGPsに及ぼす影響について検討した. その結果, ETGPSは月蒸発散位を推定するにあたり, 最大でETPENの20%(春季~秋季) ~50%(冬季) ほど過小または過大評価する可能性があることが示唆された.

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© 社団法人 農業農村工学会
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