農業農村工学会論文集
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GPS可降水量を用いた大雨予測指標の検討
森 牧人田中 宏延平松 和昭原田 昌佳
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2007 年 2007 巻 250 号 p. 363-371,a1

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抄録

近年, GPSの測位データを基に大気カラム中の水蒸気の総量をGPS可降水量として算出することが可能になった. 本研究では, 北部九州の平野 (佐賀平野) 内のGPS電子基準点と気象観測点で得られた過去約7年分のデータについて解析を行い, 大雨日 (日降水量が50mm以上記録された日と定義) を対象にGPS可降水量と降水の関係について調べた. その結果, 大雨日の特徴として,(1) 可降糧の増加率Rinc ((Pwv0-PWV*)/PWV0) が-0.25-0.75であること (PWV0とPWV*は, それぞれ, 当日および前日午前0時における可降水量),(2) PWV0が温度の関数として導かれる可降水量PWVsat (T0) (T0: 当日午前0時の地上気温) 以上の値をとること,(3) T0とPWV0の各値がそれぞれ閾値 (TrefおよびPWVref) 以上であること, 以上の3つの条件が抽出された. これらの条件を基に大雨予測指標IHPを作成し, それを実際のデータに対して適用した. IHPを用いることにより安全な予測結果が得られ, 同指標の有用性が示された.

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© 社団法人 農業農村工学会
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