抄録
本研究は, 畑地における浮遊土砂の流出防止対策として土中排水法を考案し, その効果の検証と実用化の可能性を検討したものである.土中排水法とは, 地表水を浸透帯により地下に埋設した吸水管に導き排水する方法である.浸透帯は, 圃場を横断あるいは畦に沿って掘った溝に粒径2mmから20mm程度の粒状化土壌を詰めたものである.土中排水法は, 実験初期においては高い浸透機能と濾過機能が認められ, 地表排水量の抑制および浮遊土砂濃度を著しく低下させた.しかし, 浸透帯の表層クラストの形成により, その効果は低下した.耕転による表層クラストの破壊は土中排水法の効果を回復させるが十分ではない.土中排水法の実用化に向けて, 浸透帯の表層クラストの形成抑制や浸透強度の回復が解決すべき問題点であることが明らかになった