農業農村工学会論文集
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ボックスモデルによる有明海奥部西岸域の貧酸素水塊発生機構の検討
郡山 益実瀬口 昌洋石谷 哲寛
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2008 年 2008 巻 255 号 p. 267-275,a1

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抄録

本研究では, 現地観測データや1972~2000年の浅海定線調査データを基に, 2層ボックスモデルより有明海奥部西岸域で頻発する貧酸素水塊の発生機構を検討, 考察した. その結果, 対象海域における移流速度, 鉛直拡散係数及び生化学的酸素消費速度の季節変化の平年値が明らかにされた. また, 下層ボックスのDO濃度の時間変化に関わる物理過程 (移流・鉛直拡散) と生化学的過程を定量的に評価した結果, 夏季の対象海域における下層ボックスのDO濃度の時間変化には, 鉛直拡散と生化学的酸素消費の寄与が大きく, 特に下層ボックスへのDO供給量の約83%が鉛直拡散によるものと推定された. さらに, 夏季の対象海域における貧酸素水塊の発生は, 底層での生化学的酸素消費量が鉛直拡散による表層から底層へのDO供給量より多いことに起因するものと考えられた.

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© 社団法人 農業農村工学会
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