2000 年 10 巻 1 号 p. 40-47,48
今日、環境問題などの解決のために、データの蓄積ということが以前にも増して重要な課題となりつつある。こうした杜会的要請ばかりでなく、科学自体がその発展のためにデータの蓄積を必要としている。よく知られているように、天体運行データや生物種多様性データを基にして西欧では近代的な物理学や生物学が誕生したが、日本や中国では近代化しそこなった。これらのデータを例にとり、研究者のデータに対する態度とその結果としての理論体系の構築について二つの地域で根本的な違いがあったことを指摘する。