情報知識学会誌
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17回(2010年度)研究報告会論文集
「社会変革の一般的構造」
安平 哲太郎
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2010 年 20 巻 2 号 p. 103-110

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抄録

「本来同じであるべき事」を同じと認識し、「本来異なると認識すべき事」を異なると認識していない時矛盾が生じ、異なると認識した時矛盾が解消する事を社会の変革に適用することによって以下の事を明らかにした。すなわち、人間社会には一人の人間がとり得る幾つかの立場がある事。そして、通常は必然的にそのどれかの立場をとって共存しているが、やがて何らかの働きによって本来同じであるべき事を同じと認識することで矛盾が始まる事。さらにその認識が共有され、矛盾の原因が差別や不公平をもたらす立場の違いやそれを支えている制度にある事に気づく事で認識上の矛盾は解決する事。やがて同じという認識が必要な事態があって、かつその認識が通用しない自他の立場故に事態を解決できない事に気づいた時、 その認識が通用する立場へと社会の変革を非可逆的に始める事。しかし、同じという認識とそれぞれの立場の距離の違いから変革に際しては変革の抵抗勢力と変革の推進勢力とが出現し混乱を招きやすい事がわかった。社会の変革をこのように見る意義は、これから迎える様々な変革に対して社会がどの段階にあるかを理解し備える事が出来るという点である。

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