Reproductive Immunology and Biology
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総説
ヒト胎盤形成におけるプロテアーゼ系の寄与
成瀬 勝彦大野木 輝佐道 俊幸小林 浩
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2015 年 30 巻 p. 7-12

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抄録

プロテアーゼ系(インヒビターを含む)は生体に欠かせない重要な機構である。ヒト妊娠においては,この機構は絨毛細胞の浸潤,子宮らせん動脈の分解やその後の妊娠継続に欠かすことができない。本稿ではプロテアーゼ系(MMP,uPA,PAI)の妊娠初期における胎盤形成を中心とした役割について述べる。とくに我々が発表してきたプロテアーゼ・スイッチ(妊娠10週以前の絨毛細胞浸潤を妊娠12∼15週のらせん動脈分解に劇的に変化させる機構)はその後の妊娠合併症に密接に関連すると考えられており,関与する浸潤型絨毛細胞と子宮Natural Killer細胞の役割は重要である。プロテアーゼ研究の進展はこれまで謎に包まれてきた妊娠初期の母児間の交接を証明するためにも,ますます重要になるものと考えられる。

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© 2015 日本生殖免疫学会
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