2007 年 2007 巻 599 号 p. 599_233-599_252
法制審議会保険法部会において,規律の現代化として幾つかの新たな試みが審議されている。その中で,賠償責任保険契約に固有の事項として検討が進められている「保険金から優先的な被害の回復を行う方法」について,一定の条件が付された「直接請求権」や「特別先取特権」を制度として設けることが提案されている。こうした制度の創設には,実務的には多くのハードルがあるので,その問題点を明らかにしながら,どのような条件のもとであれば実効性のある制度が立ち上げられるのか,実務家の立場から考察した。