2008 年 2008 巻 601 号 p. 601_95-601_108
損害保険会社の「保険料の過徴収問題」は,特定の損害保険会社でたまたま発生した問題ではなく,「保険自由化」から始まった保険商品の多様化,複雑化,そして過当な効率化競争や販売競争が引き起こした損害保険業界全体が関係する事態として社会に受け取られ,その結果,各社は,抜本的な募集業務の改善および保険商品の改定,簡素化に取り組むことになった。
しかし,損害保険契約の入口で発生した「保険料の過徴収問題」については,その要因としてあげられる募集態勢や保険商品の問題の発生源が,損害保険会社が,その保険事業者としての特性ゆえに,保険の募集に携わる者に対して実施してきたこれまでの募集教育にあるのではないかと考えられる。
本稿では,損害保険会社の「保険料の過徴収問題」の要因発生源としての募集教育について再考し,本来そこから培われるべき募集倫理と,そのあるべき姿について考える。