抄録
共済と保険は保障という大分類では共通性があるが,指導理念・組織原理・保障技術の点で夫々別異の体系を構成しており,行為法(契約法)及び業法の両面で,夫々に適合した別々の法律の下で切磋琢磨することが,夫々の利用者(契約者)及び国民経済に資することになる。外圧に関わらず,各々相違した保障を敢えてイコールフッティングの名の下に同様の法規制を掛ける必要性は全く無く,保険は保険内部で保障を更に充実させるように努力すべきである。共済は地道に直向に孜孜営々と努力を積み重ねてきた成果が今日多くの利用者に評価されている訳であり,保険は共済から謙虚に学び取る姿勢が必要であろう。自己と異なったものの存在を認めた上で,相互に研鑽する多様性を日本の社会から喪失してはならない。