保険学雑誌
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公保険ビジネスとしての環境保険マーケットの規模の推定
桑名 謹三
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2009 年 2009 巻 605 号 p. 605_121-605_140

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抄録

ドイツでは,環境汚染賠償責任保険(EIL)が強制付保化されてから15年以上が経過した。また,日本においても環境政策のツールとしてEIL が有用ではないかとの主張をする論者もいる。しかしながら,ドイツと同様の政策を日本で実施した場合の経済効果を分析した研究は存在しない。
そこで,本論においては,日本でEIL の強制付保化政策が実施された場合に,当該政策が日本経済に与える効果のうち,損害保険マーケットが受ける影響に特化して分析を行った。本論では,現状のリスクの積上げを保険料に変換するという政策の経済的波及効果を無視した手法と,応用一般均衡モデルを用いて経済の波及効果を勘案した手法の双方により分析を行った。
結果は,経済の波及効果を無視した手法は,EIL のマーケット規模を過大評価することと,EIL の強制付保化政策が日本の損害保険業にとって,大きなビジネスチャンスとなることを示すものであった。

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© 2009 日本保険学会
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