保険学雑誌
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「いま保険とは何かを考える」―平成20年度大会共通論題―
差異が縮小するリスク・サービス産業
―資本市場における保険と金融の融合の進展―
後藤 和廣
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2009 年 2009 巻 605 号 p. 605_73-605_92

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抄録

「リスク・サービス産業」とは,金融機関等の「業態の垣根」の低下を表象する言葉である。
金融機関,非金融会社を問わず,リスクを処理する最終的な資金は株主資本である。リスクは最終的には資本市場の投資家により負担される。金融機関の役割はリスクの出し手である非金融会社と投資家との間の導管的な機能を果たすことと言える。
リスクファイナンシングは,企業が存続していくための資金(リスク・キャピタル)を資本市場から調達できるようにすることであり,企業の財務活動の一部である。リスク・キャピタルは,最終的には株主資本であるが,その代替機能を有する負債資本,そして保険,ART,デリバティブ等のオフ・バランスシート・キャピタルも広義には含まれる。
「保険と金融の融合」の進展が続く現代,リスクファイナンシングの検討は,リスク・キャピタルの調達コストである資本コストの視点からも行われるべきである。

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© 2009 日本保険学会
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