2009 年 2009 巻 605 号 p. 605_93-605_105
本稿は,最近の国際的な会計や規制において検討されている保険負債の評価方法に対する考え方を踏まえた上で,その評価の観点から保険商品の構造を再考し,論点を洗い出そうとするものである。中でも,契約者の解約行動について言及する。このオプションの複雑さが保険負債評価を難しくしているとも考えられるが,そのように複雑になってしまう原因には保険商品の解約返戻金額の規定にあるとも考えられる。本稿では,こうした問題を解決するための解約返戻金額の考え方と,それがなかなか実現しない理由について簡単に整理する。