保険学雑誌
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「保険概念の再検討」―平成21年度大会共通論題―
保険概念における不可欠な条件について
安井 敏晃
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 2010 巻 609 号 p. 609_21-609_36

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抄録

近年,保険概念についての関心が高まっている。その背景として保険以外のリスク処理手段の発達により,保険との違いを明確にする必要があることが指摘される。しかしそれだけでなく,消費者に対する保険教育を進める上でも保険概念を改めて検討する必要があろう。従来の保険概念を巡る議論は研究者により厳密に検討されてきたものであり,一般の消費者にとっては難解と考えられるからである。消費者のためには,保険概念に不可欠な条件を押さえながらも簡潔な説明が必要となる。そこで本稿では,その不可欠な条件を検討してみた。その際,特に「掛け捨て」という広く流布した表現を手がかりにした。これは誤った表現であるにも関わらず,現在でも多くの消費者に使用されている。このことは消費者にとり,その誤りが分かりにくいことを意味しよう。そこでこの誤解を解くための簡潔な説明を試みることで,消費者にまず伝えるべき保険概念の条件を検討してみた。

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© 2010 日本保険学会
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