保険学雑誌
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イギリスの社会保障及び福祉の現代化
樫原 朗
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2010 年 2010 巻 610 号 p. 610_113-610_132

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抄録

サッチャー時代の終わりに福祉国家の終焉がいわれた。幾回もの総選挙に大敗した労働党は旧労働党の考え方を捨て,新労働党として新しい考え方のもとに建て直しを考えた。それが福祉国家の再形成であるが,ブレアなどの求めたものはニューライトの考え方でも旧労働党の考え方でもない「第三の道」であった。そして単なる福祉ではなく「福祉から就労へ」をかかげた。それがニューディールであった。そのための制度の合理化などを「現代化」と呼んだ。社会保障・福祉などの対策の文献には「現代化」や「新」がつけられた。それは考え方を基本的に変えるものであった。有給の就労を奨励し,障害等のために働きえない人に社会保障を提供すべきだと考えた。社会保障等は単に「権利」ではなく「責任」をともなうとの考え方をうちたてた。その一方で,収入の少ない人や働いているが,貧困な人や児童に租税クレジット(Tax Credit)を与えることとした。

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© 2010 日本保険学会
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