保険学雑誌
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ヨーロッパ保険契約法原則(PEICL)の生成と展開
久保 寛展
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2012 年 2012 巻 616 号 p. 616_111-616_130

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抄録

本稿は,ヨーロッパ保険契約法原則(PEICL)を取り上げ,その生成過程と具体的内容に関する展開部分を考察する。もともと保険契約法は,EUの各加盟国において制定されているが,一般契約法と異なり,保険契約者等の保護のために強行法規定を設けている場合が多い。そのために,EU加盟国における保険契約法の調整は,抵触法上の問題を含めて非常に困難になることが予想されるが,その予想に反して,近年ヨーロッパ保険契約法プロジェクト・グループによりPEICLが策定された。この成果は,いわばヨーロッパの保険法研究者の英知の結晶であり,その意味ではヨーロッパの各保険契約法の考察に際してPEICLの参照は避けられない。ここにPEICLを検討する本稿の意義がある。たしかにArmbruster教授の指摘のように,撤回期間を定めるPEICL第2:302条は解釈上不要であるなど,問題点は残されているが,全体としては今後のEUの保険契約法に多大な影響を及ぼすことがあることを指摘して結論とする。

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© 2012 日本保険学会
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