保険学雑誌
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「保険事業とERM」―平成23年度大会共通論題―
保険事業とERM
-ERM展開の経緯と保険事業の立場-
大城 裕二
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キーワード: 保険管理型RM, ERM, SOX法
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2012 年 2012 巻 617 号 p. 617_37-617_51

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抄録

米国大恐慌後の費用節減思考は,保険費用軽減策をも検討させ,リスク研究を促進した。保険可能性を考慮し,しばらくは「純粋リスク」に絞る操作的リスク概念が対象とされてきた。情報化・グローバル化の流れは市場環境を変化させ,規制緩和を通じて市場回転率の向上,市場広域化,経済尺度の統一化,ART開発等が推進され,価値収斂の財務統合的RMが展開されるようになった。こうした市場環境の変化を促す動きにリスク問題は不可避であり,生産過程の確実な進行を図るRMの重要性が高まった。2000年頃から企業内部不正事件が続発し,SOX法の制定がなされ,ERM実践の展開が検討され始めた。ERMは,企業組織問題に踏み込み,対象リスクの広範化が招来されている。保険事業では,その特殊事業規制に従う主要業務の展開に付随業務に関するERM効果が期待できる。

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© 2012 日本保険学会
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