2014 年 2014 巻 624 号 p. 624_23-624_43
本稿は,民法(債権関係)の改正に関する中間試案における提案が保険契約の締結過程および内容に与える影響について,検討するものである。
「情報提供義務」は,ほぼ同時期に保険業法規制への導入も提言されているものであるが,両規制は協働して規律を形成し,射程が共通する部分においては保険業法規制が民法規律の具体的基準となり得る。また,「契約の解釈」は,主観的基準に重きを置いたようでいて,客観的基準とのバランスにも配慮されており,保険契約に妥当しないとの評価は必ずしも適当ではない。「約款」規律では,「契約の内容となる/ならない」「個別の合意」などの新たなコンセプトの趣旨明確化,および保険契約における「中心部分に対する不当条項規制」の特則を定める特別法の要否の検討が今後の課題となる。