保険学雑誌
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個人年金保険の市場規律に関する一考察
-相関関係の分析-
徳常 泰之
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2014 年 2014 巻 626 号 p. 626_31-626_50

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抄録
護送船団行政の時代では,競争制限的な規制が行われていたため,保険会社の破綻について,保険契約者は考慮する必要がなかった。保険業法改正以降,規制緩和が進展したが,一方で逆ざやの問題や保険会社の破綻により契約者が不利益を被る問題が発生した。保険契約者にとって,保険会社を選択することの重要性が増加している。
本稿では,保険会社の財務状態に関する指標(ソルベンシーマージン比率,格付情報)が変化することで,個人年金保険の契約に関する指標(保有契約数,新規契約数,解約率など)がどのように変化するのかという点について,「保険会社の財務状態に関する指標が良化すれば,保有契約数,新規契約数が増加し,解約率が低下する。他方,財務状態に関する指標が悪化すれば,保有契約数,新規契約数が減少し,解約率が上昇する」という仮説を立て,変数間の相関関係の分析を行うことで市場規律が存在する可能性について検証を行い,市場規律が存在する可能性が確認された。
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© 2014 日本保険学会
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