抄録
今般の民法(債権法)改正案に含まれる中間利息控除の新たな規律は,変動制に移行する法定利率の適用について定めるものであり,賠償責任保険の実務に多大な影響を及ぼすことが想定される。新規律は,損害賠償制度全般に関する議論に立ち入らず最低限の手当てをしたものと言え,将来における不法行為法の検討に多くの課題を託すものである。中間利息控除への変動利率の適用は,現行実務に対する問題意識も考慮した対応ではあるが,不法行為時が異なることで賠償額に大きな差異を生じさせ,また損害賠償制度に係る従来の整理や既存の実務に修正を迫ることも想定されるものであり,その合理性について検証が試みられる必要がある。不法行為法の検討においては,想定される諸論点を網羅した議論を通じ,変動・固定双方の利率を組み合わせた中間利息控除スキームの是非も含め,様々な選択肢から最適な仕組みを採ることが追求されるべきである。