保険学雑誌
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【保険自由化20年特集】
標準責任準備金の20年
-計算方法と計算基礎率の保守性について-
河本 淳孝
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2017 年 2017 巻 639 号 p. 639_177-639_201

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抄録

標準責任準備金制度が導入されて20年が経過した。自由化・規制緩和に伴うリスク増大に対応するために導入されたこの制度は,生命保険会社の負債にどのような影響を及ぼしたか。この点について,主に計算基礎率の保守性という視点から検証するのが本稿の趣旨である。検証の結果,制度導入による前進点として,保険料計算基礎率と保険料積立金計算基礎率の分離,平準純保険料式の保守性の数量的把握と開示,予定利率の保守的補整の制度化等が挙げられることを確認した。また,これまでに主張されてこなかった論点として,予定死亡率の保守性と予定利率の反保守性の相殺構造の解明と数量的把握の必要性等を提示した。なお,経済価値ベースの負債評価を制度化した場合,現行制度の弱点を補うことが期待されるものの,保険会社の過度のリスク回避を惹起する懸念等が存在することを併せて確認した。

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© 2017 日本保険学会
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