抄録
1996年の保険業法改正による保険自由化から20年が経過した。損害保険事業においては,金融システム改革法を含む一連の保険業法改正,これに多大な影響を与えた日米保険協議,独占禁止法適用強化の象徴となった機械保険連盟事件等を経て,事業の内容に大きな変化が生じることになった。
保険自由化の結果,損害保険業界では商品を巡る競争が激化し,ローコストオペレーションの進展と相まって,大規模な統合・再編の動きが生じ,現在は3メガ損保にまで至っている。また,負の側面として保険金支払い漏れ事件が生じ,これは後の保険募集制度改革に繋がることになった。
そして現在,損害保険業界は自由化によって生じた様々な変化に加え,ERM経営や国際的な保険監督の枠組み等,新たな課題に直面している。