保険学雑誌
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「われわれは近時のエマージング・リスクにどう向き合うべきか」—平成29年度大会 日本保険学会・日本リスク研究学会連携特別セッション—
近時のエマージング・リスクに保険会社はどう向き合うべきか
吉澤 卓哉
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2018 年 2018 巻 642 号 p. 642_111-642_136

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抄録

保険業界は以前よりエマージング・リスクの保険商品化に努めてはきているものの,社会のニーズからすると,必ずしも十分に応えているとは言えない。また,こと新技術に関するエマージング・リスクについては,適時の適切な保険商品の投入が新技術の応用や普及を促す側面がある。

このように,保険会社にはエマージング・リスクをカバーする保険商品の開発が求められているが,その際には特にリスク評価が障害となる。けれども,リスク評価が困難なリスクの引受を可能とする保険引受手法を保険業界は有している(事後的保険料調整やファイナイト保険)。保険会社としては,こうした保険引受手法をさらに洗練させ,エマージング・リスクを積極的に引き受けていくことが期待されている。また,国家には,このような保険引受手法の制度的保障(保険としての認定基準の明示)が求められている。

なお,保険会社としては,エマージング・リスクを新たにカバーする保険商品の開発が期待されている一方で,既存保険商品でカバーしてしまっているエマージング・リスクが存在することにも十分留意すべきであろう。

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© 2018 日本保険学会
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