保険学雑誌
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「われわれは近時のエマージング・リスクにどう向き合うべきか」—平成29年度大会 日本保険学会・日本リスク研究学会連携特別セッション—
エマージング・リスクの早期発見と対応
—公共政策の観点から—
岸本 充生
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2018 年 2018 巻 642 号 p. 642_37-642_59

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抄録

リスクが顕在化する前に,エマージングな段階でリスクを早期に発見し,対処できていれば,より安全な社会を実現できるだろう。しかし,行政は何かが起こらないと対応するのは難しいし,専門家でさえも直前に起きたことに影響を過度に受けるという心理的バイアスを持っている。エマージング・リスクは発生形態から,リスクの発生源が新規なもの,社会が変化することでリスク化するもの,人々の考え方が変化することでリスク化するもの,の3つに分類できる。こうした多様なエマージング・リスクを早期に発見するためのアプローチには,フォーサイトという手堅い方法に加えて,理論的には予測市場を活用する方法も考えられる。フォーサイト活動を実装している組織として,欧州の労働安全衛生庁と食品安全機関が挙げられる。エマージング・リスクが早期発見・早期対応が可能になった場合には,その効果を可視化するにはどうすればよいか検討する必要がある。

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