2019 年 2019 巻 644 号 p. 644_1-644_40
今年度の大会シンポジウムの目的は,日本の保険研究・教育を展望するため,海外の主要な国際学会の動向や経験を学ぶこと,またそれらの学会におけるディシプリンである経済学やコーポレート・ファイナンスが近年どのように保険に適用されているかを学ぶことである。
前者について,厳しい競争環境に直面している国際学会では学会の価値を高めようと多くの取り組みを行っており,近年日本からの参加者が増えている。後者について,保険論との関連が強いミクロ経済学の領域の1つに行動経済学があり,「後悔理論」や「安堵理論」の保険への適用事例が紹介された。また,実際のリスクマネジメントの意思決定にコーポレート・リスクマネジメント理論が影響を与えており,教育の重要性が確認された。